生存者バイアスとは【成功例だけ見てはいけない】

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生存者バイアスとは

生存者バイアスとは、物事を分析する際に失敗例を無視し、成功例だけに着目してしまう現象のことです。

生き残った人・成功した人の情報は集めやすいですが、亡くなった方々・失敗した人の情報は集めにくいため、情報の偏りによりバイアスが生じます。

生存者バイアスが提唱されたきっかけ

生存者バイアスは、第二次世界大戦の際の爆撃機に関する研究から提唱されたものです。

爆撃機の生還率を高めるために「生還機のどこに多く被弾しているか」を調べて、よく撃たれる部分の装甲を強化しようとしました。

生還率を高めるためには、本来は、墜落機を調べて「なぜ墜落したのか」「どこを撃たれたら墜落するのか」を調べなければならないにも関わらず、「撃たれても生還できる部分を強化する」という誤った判断をしていました。

このように、本来分析すべき「失敗例」ではなく、「成功例」のみを分析してしまうことを「生存者バイアス」と呼ぶようになりました。

生存者バイアスの実例

退職理由

最近、会社の退職率増加で悩む企業が増えているそうです。昔に比べて転職が一般的になっており、私も転職を経験しています。

退職の原因を分析する際は「生存者バイアス」が生じやすい状況です。会社を辞めていない人が集まって、退職した人のことについて「あーだこーだ」議論したところで、退職者の本当の退職理由は分かりません。退職理由を正確に把握するためには、やはり退職する本人に聞くしかありません。

退職者本人からの情報ではなく、会社に残っている人が持っている情報のみで分析を行うのは、まさに「生存者バイアス」と言えます。

成功法

世の中には様々な成功法がありますが、これらは「生存者バイアス」の影響を受けている可能性があります。

「投資」「ブログ」「SNS」「勉強」「ギャンブル」など、様々な成功法が世の中にはありますが、これらの多くは「生存者バイアス」です。たまたま成功した方法を知って、それを真似したとしても同じようなら成功を収めるのは困難です。

何かを学ぶときは、成功よりも失敗から学んだ方が多くの教訓を得ることができます。

偉人の伝記

伝記は個人の生涯にわたる行動や業績を叙述したものですが、これもまさに「生存者バイアス」の代表例です。

「伝記」は成功者の成功体験の記録であり、偉大な人物の偉大な業績の背景について知るための本と言えます。

素晴らしい業績を残した偉人の本を読むのは楽しいですが、「伝記」は成功事例の典型であり、「生存者バイアス」には要注意です。

生存者バイアスと上手に付き合うために

生存者バイアスは、人間の心理的に陥りやすい認知バイアスだと思います。成功例を聞くのは心地良いです。「私はこうやったら成功しました。」と言われたら、真似したくなりますよね。

しかし、成功者の真似をしても実際に成功するかどうかはわかりません。成功するかどうかは運による部分が多数存在するからです。

成功するための秘訣があるとすれば、成功事例を真似するのではなく、失敗事例から学ぶ姿勢が大切です。

考えてみてください。「絶対に成功する方法を教えてください」と聞かれたら何を答えますか?回答は難しいと思いますし、万人が納得する回答はないと思います。

逆に「絶対に失敗する方法を教えてください」と聞かれたら、ある程度答えられませんか?失敗な理由は明らかな場合が多いです。

成功の秘訣があるとすれば、それは「失敗をしないこと」と言えるかもしれません。そして、失敗をしないためには失敗を知ることが重要であり、失敗から学ぶ姿勢が大切です。

成功事例よりも失敗事例から学びましょう!

参考文献

認知バイアス大全「『脳のクセ』に気づけば、見かたが変わる」【参考文献紹介】

think right【参考文献紹介】

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