正の弱化とは【何かを与えて行動を減らす≒罰】

目次

正の弱化とは

ある行動の直後に刺激を提示して、その行動の将来の生起頻度が減ることです。

「正」の「弱化」についての補足説明

正と負の違い

「正」は、刺激を「提示」することです。

「負」は、刺激を「除去」することです

何かの行動の後に、何かを「提示」した結果、将来的に行動が減少場合は「正の弱化」と言います。

例えば、好ましくない行動の後に罰を「提示」した結果、行動が減少する場合などが一般的です。

何かの行動の後に、何かを「除去」した結果、将来的に行動が減少した場合は「負の弱化」と言います。

例えば、学校で好ましくない行動をした後、廊下に立たされることで社会的関係性を「除去」された結果、好ましくない行動が減少する場合などが一般的です。

強化と弱化の違い

「強化」行動が増えることです。

「弱化」行動が減ることです。

何かをした結果、行動が増えれば「強化」ですし、

反対に、何かをした結果、行動が減れば「弱化」と言います。

「正の弱化」と「負の強化」の関係性

「正の弱化」と「負の強化」は密接に関係しています。

例えば、正直に話をした時に罰を受ける場合、「正直に話す」という行動が「正の弱化」を受けていると解釈することができます。すなわち、「罰」が弱化子となり、「正直に話す」という行動の将来の生起頻度が下がる(弱化)したことになります。

また、嘘をつくことで罰を回避できる場合、「嘘をつく」という行動が「負の強化」を受けていると解釈することができます。

すなわち、「罰」が弱化子となり、「嘘をつく」という行動の将来の生起頻度が上がる(強化)したことになります。

弱化に関する補足説明

弱化からの回復

弱化が中断すると、通常、反応に対する抑制効果は永続しません。

弱化が中断した後の反応率は回復するばかりか、弱化の前に起きていたレベルよりやや上回ることもあります。

反応が弱化前のレベルに戻りやすいのは、弱化が軽い時や、弱化随伴性が作動していないことを個人が弁別できる時です。

弱化子とは

弱化子とは、行動の生起の直後に随伴して、その種の行動の将来の生起頻度を減らす刺激変化です。

無条件弱化子

他のどんな弱化子とも対提示されたことがないにも関わらず、その刺激提示が弱化として機能する刺激です。

無条件弱化子は種の進化の所産であり、種の健全な成員はすべて同じ無条件弱化子に影響されます。

無条件弱化子の同義語として「1次性弱化子」「生得性弱化子」という用語が使われることがあります。

条件性弱化子

条件性弱化子とは、条件づけの履歴を持つ結果、弱化として機能するようになる刺激変化です。

条件性弱化子の同義語として「2次性弱化子」や「学習性弱化子」という用語が使われることがあります。

正の弱化による介入の例

叱責

望ましくない行動の生起直後に叱責することは将来の反応を抑制できることが多くの研究によって示されています。

叱責は正の弱化の代表例と言えます。

叱責を行う場合は、「アイコンタクト」と「肩をつかむ」という行動を併せる方が、そうではない場合に比べて効果があるという研究結果があります。

また、近距離で叱る方が遠くから叱るよりも効果的です。

理想的な組み合わせは、頻繁に褒め、時に軽く叱り、ごくまれに大声で叱責することです。軽い叱責は褒めることと併用するようにすれば、妨害行動を減らすうえで非常に有益です。

反応阻止

反応阻止とは、人が問題行動を自発し始めたら直ぐ身体的に介入し、その反応の完遂を抑えるか、「ブロック」することです。

反応阻止は一部の問題行動の頻度を減らすうえで有効であることが証明されています。

条件的練習

条件的練習とは、問題行動発生時に問題行動と形態上の関連性がない反応を遂行することを要求します。

好ましくない行動が起こったときに、その行動とは全く別の行動を行うことを求めます。

条件的練習は弱化として、さまざまな自己刺激行動、常同行動、妨害行動、攻撃行動、自傷行動に対して有効であることが見いだされています。

過剰修正

過剰修正とは、問題行動が起こると、毎回その生起を条件として学習者に「その問題行動に直接的にまたは論理的に関連している努力を要する行動」を遂行するよう要求することです。

「過剰修正」には「原状回復型過剰修正」と「積極的練習型過剰修正」があります。

現状回復型過剰修正は、問題行動が引き起こした損害を修復することを学習者に要求する方法です。

積極的練習型過剰修正は、問題行動が起きたときに、正しい行動を特定の持続時間・反応回数・反復遂行するよう要求する方法です。

過剰修正を実施する際のガイドラインとして、以下の内容が提唱されています。

・問題行動が起こったら、責めたり叱ったりせずに「なぜその行動が修正されなければならないか」を短く説明する

・過剰修正の内容を示す明確な言語指示を与える

・問題行動が起こった後できるだけ早く過剰修正を適用する

・過剰修正活動を一部始終モニターする

・適切な行動を自発的に行ったら、そのたびに褒めて注目し、強化を与える

正の弱化の参考文献

 ⇒行動分析学の参考文献

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