負の強化とは【刺激を除去して行動が増える】

目次

負の強化とは

負の強化とは、ある反応に後続してある刺激が停止・現象したときに、将来類似の反応の生起頻度が高まることです。

簡単に説明すると、ある行動の後に特定の刺激がなくなった(減少)した結果、その行動が将来的に増えることです。

「負」の「強化」についての補足説明

正と負の違い

「正」は、刺激を「提示」することです。

「負」は、刺激を「除去」することです。

何かの行動の後に、何かを「提示」した結果、将来的に行動が増えた場合は「正の強化」と言います。

例えば、好ましい行動の後にご褒美を「提示」した結果、行動が強化される場合などが一般的です。

何かの行動の後に、何かを「除去」した結果、将来的に行動が増えた場合は「負の強化」と言います。

例えば、病院に行くという行動の結果、痛みが「除去」されて、将来的に病院へ行く回数が増えた場合などが一般的です。

負の強化の随伴性の種類

逃避随伴性

逃避随伴性とは、ある反応により刺激を終了させることです。

例えば「目覚ましが鳴ったらボタンを押して音を止める」という行動であり、「ボタンを押す」という反応により「目覚まし時計の音」という刺激を止めています。

回避随伴性

回避随伴性とは、ある反応により刺激の発生を防ぐ・遅延させることです。

例えば「目覚ましが鳴る前にボタンを押して音を止める」という行動であり、「目覚まし時計の音」という刺激が発生する前に「ボタンを押す」という反応を行うことにより、刺激の発生を防いでいます。

回避の種類

弁別性回避

弁別性回避とは、ある信号に反応することによって刺激の発生を防ぐ・遅延させることです。

例えば「日の出で目が覚めて目覚まし時計を止める」という行動であり、「日の出」という信号に「目覚まし時計を止める」という反応をすることで「目覚まし時計が鳴る」という刺激の発生を防いでいます。

フリーオペラント回避

フリーオペラント回避とは、反応するタイミングに関わらず、どの時点でも反応したとしても、反応することによって刺激の発生を防ぐことです。

例えば「寝る前に目覚ましを切っておく」という行動です。

負の強化子の種類

強化子とは

反応の後に提示・除去されることで、その反応の生起頻度を増加させる機能を持つ刺激です。

「反応に随伴して頻度増加の原因となった出来事」と言えます。

例えば、体の痛みに対して痛み止めの薬を飲んで痛みが除去され、「痛み止めの薬を飲む」という行動の生起頻度が増加した場合、「痛みの除去」が強化子に該当します。

負の無条件強化子

無条件強化子とは、先行学習がないにも関わらず、その除去が行動を強める働きをする刺激のことです。

簡単に説明すると、負の無条件強化子の多くは生まれ持った本能的に不快な刺激と言えます。

負の条件性強化子

条件性強化子とは、過去の経験・学習に基づき、その除去が行動を強める働きをする刺激のことです。

簡単に説明すると、負の条件性強化子の多くは過去の経験に嫌な刺激と言えます。

負の強化の実例

負の強化の実例として、以下のようなものがあります。

  • 外から騒音がするので、窓を閉める
  • 雨が降ってきたので傘をさすことで雨に濡れなくなる
  • 寝るために部屋を暗くするためにスイッチを押して電気を消す

強化に関する補足説明

強化の即時性の重要性

行動の強化のためには、即時性がとても重要です。

反応から強化までの時間が遅くなると強化の効果が弱くなると言われており、「0秒遅延」に比べると「1秒遅延」は効果が弱くなります。

強化の即時性についての人間に関してのデータはありませんが、動物実験のデータによると「30秒」までは決定的な喪失は起らないことが示されていますが、1・2分で限界を超えると言われています。

即時性が重要な理由は、「反応」と「刺激」の間隔が開くほど誤った反応を強化してしまう恐れがあるためです。

強化は1秒でも早く、遅くとも60秒を超えないようにすべきです。

強化の自動性

強化が起こるためには、「行動」と「刺激」の関係性を理解したり言語化する必要はなく、気づくことすら必要がないと言われています。強化は本人の認知とは関係なく自動的に生じるため、「強化の自動性」と言われます。

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