職場で嫌われる人・嫌な人について認知バイアスの視点から考察【あなたの周りにこんな嫌な人いませんか?】

この記事で伝えたいこと

職場などで「嫌われている人」や「嫌だなと思う人」必ずいますよね。

嫌な人は、なぜ嫌な人なのか、真面目に科学的に考えたことはありますか?

「好き嫌いは合う合わないの問題」と片付けてしまっていませんか?

この記事では、「嫌な人」について認知バイアスの視点から考察します。

「嫌な人だと思われている人」が「嫌な人」になってしまうことに関する認知バイアス、「嫌な人」がどんどん嫌な人になっていってしまうことに関する認知バイアス、他人を「嫌な人」だと感じてしまう認知バイアスについて紹介します。

嫌な人になってしまうきっかけに関する認知バイアス

嫌な人になってしまうきっかけに関する認知バイアスを紹介します。

これらの認知バイアスによる影響を受けた行動により、他人に嫌われてしまうことがあります。

スケープゴート

スケープゴートとは、自分が苦境や困難な状況に陥ったときに、その責任や不満などを直接的な原因ではなく他の対象に転換することです。他の対象に転換することで、自分の責任を回避する心理メカニズムがあるとされています。

スケープゴートという言葉は、元々は「身代わり」「生贄」などを意味する言葉です。

職場でのイジメや嫌がらせはすごくカッコ悪いですよね。イジメや嫌がらせの背景には「スケープゴート」の影響があることがあります。「スケープゴート」とは、要するに八つ当たりです。自分の困難を他人に転換して責任を回避しようとする行為が「スケープゴート」です。

嫌われ始めるきっかけは、ふとした時の「スケープゴート」だったりします。

気質効果

気質効果とは、物事を判断する際に、自分にとって心地良いか苦痛かというくくりで決断を下してしまう現象です。

他えば、投資家が買ってから値上がりをし続けた株を売って利益を確定し、値下がりを続けている株を持ち続けようとしてしまうことです。

嫌われる人は、自己中心的な行動を行う人が多いです。自己中心的な行動とは、具体的にはどのような行動でしょうか?自己中心的な行動の例として、「自分にとって都合が良いか」という視点でしか物事を見ていない行動などがあると思います。

この「自分にとって都合が良いか」という視点で判断してしまう認知バイアスが「気質効果」です。

知識の呪縛

知識の呪縛とは、人に何かを伝える時に、自分と相手の知識差を考慮できない現象です。自分が知っている事を相手も当然知っているかのように話をしてしまうことです。

嫌われる人の特徴の1つが「相手の気持ちや状況を考えない」というものがあります。「相手の気持ちや状況を考えない」に関係する認知バイアスが「知識の呪縛」です。「知識の呪縛」は、自分と相手の知識差を考慮できない認知バイアスです。

「なんで○○なのに、こんなことやったんだ」

「(○○なんて聞いてないけど)…申し訳ありません。」

こんな経験はありませんか?

このような事象はまさに「知識の呪縛」の例です。

仕事で情報量の差でマウントを取る行動は、カッコ悪いですし、仕事ができない人の典型です。

優秀で仕事ができる人は、仕事仲間と情報を即座にシェアします。

嫌われる人がどんどん嫌われていくことに関する認知バイアス

一度嫌われ始めると、どんどん嫌われていきます。

その背景には、様々な認知バイアスが影響しています。

認知バイアスが認知バイアスを呼ぶ、負のスパイラル状態です。

順を追って紹介します。

ダニング・クルーガー効果

ダニング・クルーガー効果とは、能力が低い人ほど自己評価が高い傾向がある効果のことです。能力が低い人は正しい自己評価ができず、自分は優秀だと考えがちになります。

優秀な人は視野が広いので、自分が出来ていないことを認識することができます。その結果、「これは出来るけどこれは出来ない」と認識することができ、適切な自己評価ができます。

一方、能力が低い人は視野が狭く、限られた範囲しか認識ができません。他人から見れば「○○しかできない」という状態なのにも関わらず、本人はその限られた範囲のみで自己評価をしてしまい、その結果自己評価が高くなってしまいます。

職場で嫌な人は「自分は仕事ができる」「自分以外は無能」といった考え方をする人が多いです。なぜ、そのような考えをする人を見ると嫌な気持ちになるのでしょうか。1つの答えとして、本当は優秀でもなんでもないのにも関わらず、自己評価だけが高くて、見ていて・接していて不快に感じるからだと考えられます。

「ダニング・クルーガー効果」は、能力が低い人ほど自己評価が高くなる傾向であり、要するに勘違いです。

「能力が低いのに自己評価が高い」

→「周りから見ていて不快」

→「嫌な人と感じる」

という流れになります。

これ、よくあるパターンです。「ダニング・クルーガー効果」の影響を受けた人と付き合いたいとは思いませんよね。

この、「ダニング・クルーガー効果」から嫌われる認知バイアスの連鎖が始まります…。

モラル信任効果

モラル信任効果とは、自らが立派である、社会の役に立っている、と認識することで「これだけ素晴らしいのだから、多少倫理に反することを行なったとしても許されるだろう」と無意識のうちに考えてしまう傾向のことです。

「モラル信任効果」は、上記の「ダニング・クルーガー効果」と合わせて強力な効果を発揮します。

「ダニング・クルーガー効果」により自己評価が高くなると、「モラル信任効果」により「多少倫理に反することを行ってとしても許されるだろう」と考えるようになります。

その結果、横暴な行動やモラルに反する行動が増えてしまいます。そうなると、「本当は仕事ができないけど、自分は仕事ができると勘違いして、横暴な行動を繰り返す人」の出来上がりです。

こうなってしまうと…その人は嫌われ路線一直線です。

認知的不協和の理論

認知的不協和の理論とは、自分の中に矛盾や葛藤があるとき、理由を作ってその矛盾を解消しようとする現象です。

様々な認知バイアスの効果などで嫌われ始めると、嫌われていることを正当化しようとし始めます。

「元々能力が低い」

→「ダニング・クルーガー効果」により自己評価と周りの評価にギャップが生じる

→「モラル信任効果」により嫌われるような横暴な行動が増える

→「認知的不協和の理論」により嫌われていることを正当化する

という行動を始めてしまします。

「こんなに頑張っている自分を嫌うのはおかしい」

「周りは見る目がない」

「嫌われながら会社に貢献している自分は偉い」

「嫌われる人が会社には必要」

「仕事ができる人になるためには、嫌われる必要がある」

「俺は仕事のためにわざと嫌われている」

このような無理矢理な理屈により、自分の中の葛藤を正当化します。

そうすることにより、周囲の人間からはさらに嫌われていきます。

「本当は仕事ができないけど、自分は仕事ができると勘違いして(ダニング・クルーガー効果)、横暴な行動を繰り返し(モラル信任効果)、仕事のためにわざと嫌われていると思い込んで(認知的不協和)いる人」の出来上がりです。

かなり痛い人になってきましたね…。

感情ヒューリスティック

感情ヒューリスティックとは、好き嫌いによって判断が決まってしまう現象です。

例えば、好きな人の意見は正しいと感じるが、嫌いな人の意見は誤りと感じてしまいます。

嫌われ始めると周りの人の反応が冷たくなっていきます。そんな時に、ゴマすりが上手な人が出てきて、優しく接してくれたら…きっとすごく嬉しか感じると思います。そうなると「感情ヒューリスティック」が効果を発揮します。

自分のことを嫌ってる人の言うことは聞かず、自分に対して優しくしてくれる人とだけ付き合うようになります。そうなるとどんどん人間関係が狭くなっていきます。

「自分に対して優しく接してくれる人」の代表例は「新人」です。嫌われる人は、様々な認知バイアスの累計によって嫌われていきます。そのため、接する期間が長ければ長いほど嫌われていきます。

その結果、嫌われている人の周りに残るのは新人などの若い人のみとなり、その人たちもどこかのタイミングで離れていきます。

ここまでの流れをまとめると、

「本当は仕事ができないけど、自分は仕事ができると勘違いして(ダニング・クルーガー効果)、横暴な行動を繰り返し(モラル信任効果)、仕事のためにわざと嫌われていると思い込んで(認知的不協和の理論)、自分に優しい人としか仕事ができず人間関係が狭くなり(感情ヒューリスティック)、その結果、周囲に従順な経験が浅い人しか残っていない人」の出来上がりです。

ここまで来ると、挽回するのはなかなか難しいですね…。

一貫性の法則

一貫性の法則とは、自分で決めたことについて、最後まで一貫性を持った態度を取ろうとする傾向のことです。

嫌われる人は「自分が正しい」と思い込んでいることが多いですが、実際は様々な認知バイアスに侵されて過ちを繰り返しています。

この過ちを「認知的不協和の理論」により自分の中で正当化し、その判断を「一貫性の法則」により継続しようとします。過去の誤りを訂正・修正できない状態です。こうなるともう…嫌われ続ける末路になります…

ここまでの流れをまとめると、

「本当は仕事ができないけど、自分は仕事ができると勘違いして(ダニング・クルーガー効果)、横暴な行動を繰り返し(モラル信任効果)、仕事のためにわざと嫌われていると思い込んで(認知的不協和の理論)、自分に優しい人としか仕事ができず人間関係が狭くなり(感情ヒューリスティック)、その結果、周囲に従順な経験が浅い人しか残っていないが、その行動を正当化して繰り返す(一貫性の法則)人」が完成しました。

こんな人…絶対嫌ですよね。

認知バイアス、怖いです。

「あの人嫌だな」と思っている自分自身に影響がある認知バイアス

人間関係は双方の関係性です。

すなわち、相手と自分の間の関係性によって決まります。

認知バイアスは嫌われている本人だけではなく、嫌っている側にも作用しています。

以下、嫌っている側に作用している認知バイアスを紹介します。

ノシーボ効果

信頼できない人物から薬を処方された場合は、適切な薬でも思い込みによって効果が発揮されないことがあります。これをノシーボ効果と言います。

嫌いな人は信用できないですよね。信用できない人の言うことややっていることは「効果がない」と感じやすくなりますが、これは認知バイアスであり、「ノシーボ効果」と言います。

「ノシーボ効果」は「プラセボ効果」の逆の認知バイアスです。信頼できる人の行動は「プラセボ効果」により実際より効果を感じやすくなり、信頼できない人の行動は「ノシーボ効果」により実際より効果を感じにくくなります。

信頼関係によって効果の感じ方が変わる例であり、人間にとって信頼関係が大切なことがよくわかりますね。

感情ヒューリスティック

感情ヒューリスティックとは、好き嫌いによって判断が決まってしまう現象です。

例えば、好きな人の意見は正しいと感じるが、嫌いな人の意見は誤りと感じてしまいます。

感情ヒューリスティックは「嫌われている人」に影響がある認知バイアスとして紹介しましたが、「嫌っている側」にも影響があります。

感情ヒューリスティックによって、「嫌いな人がやっているから」という理由で無意識のうちに判断が厳しくなる傾向があります。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分が信じたことを裏付けようとする傾向であり、自分の考えを正当化するための情報ばかり探してしまう現象です。

人を1度嫌いになると、「その人の嫌いなところ」や「その人を嫌いな理由」をたくさん集め始める傾向があります。これは、「確証バイアス」によるものです。

「確証バイアス」により嫌いな人の嫌いな部分をたくさん見つけるようになります。その結果、ますますその人を嫌いになっていきます。

対応バイアス

対応バイアスとは、誰かの行動を見た時に、その原因を直ちにその人の性格などのせいにして考える傾向です。

嫌いな人の行動を見ると、「あの人は○○な性格だから」と、行動の原因をその人の性格のせいにしがちです。この傾向が「対応バイアス」です。

人間の行動は性格による部分ももちろんありますが、第三者からはわからない事情などによる判断もあります。

嫌いな人となるべく接しないようにしている時、嫌いな人の事情や状況について把握していないですよね。もし把握していたら、もはやそれはストーカーのように感情が拗れている状態の可能性があります。

事情や状況を考慮せずに、行動の理由を性格に直結して考えてしまう傾向、これが「対応バイアス」です。

十分気をつけましょう。

最後に

今回の考察は、実際に私の職場にいる人をモデルに考察しています。その人、本当に嫌われていて、私もなるべく関わらないようにしています。

ただ、忘れてはいけないことがあります。それは、「認知バイアスは本人が気付かないうちに効果を発揮する」ということです。

要するに「人の振り見て我が振り直せ」ということです。

「嫌われることにつながるような認知バイアスの影響を受けていないか」

そして

「嫌われている人を見ている自分に関する認知バイアスはどんなものがあるか」

をしっかりと考える必要があります。

認知バイアスを知ることで、職場の人間関係が少しでも楽になれば幸いです。