感覚強化子とは
感覚強化子とは、感覚体験自体が直接的に快適さや満足感を提供し、その結果として特定の行動の頻度が自然に増加するような強化子です。
直接的な社会的承認や具体的な報酬といった外的な強化子に依存しないことが特徴です。
感覚強化子の種類
感覚強化子は、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚といった人間の基本的な五感に訴えるもので、個体が行動を起こす動機付けとなる自己満足や楽しみを提供します。
例えば、好きな音楽を聴くことが報酬となり、そのために音楽を再生する行動を取る場合、音楽を聴くこと自体が感覚強化子となります。
同様に、特定の感触から得られる快感や、美しい景色を見ることから得られる満足感も、感覚強化子の例です。
感覚強化子の実例(実験例より)
実験から明らかになっている感覚強化子の実例を記載します。
- 光刺激
- 窓の外の景色
- 音楽
- 絵画
- 電気ショック
- 鏡
- 映像
- 音
感覚強化の実験例
- ラットがレバーを押す行動に適切な強度の光を随伴させるとレバーを押す行動の頻度が増加する。
- サルがレバーを押すと窓が開いて外にいる仲間のサルが見えるようにすると、レバーを押す頻度が増加する。
感覚強化子とアンダーマイニング効果
アンダーマイニング効果とは、やりがいを感じて自発的に取り組んでいた課題に対して、金銭的な報酬を与えられることで「やらされている」と感じてモチベーションが低下してしまう傾向です。
感覚強化子によって自発されている行動に対して、報酬を与えることでアンダーマイニング効果が生じ、行動の頻度が減る可能性があります。
感覚強化子とクレスピ効果
クレスピ効果とは、継続的な作業を行っている際に、報酬の量が変化することによって、その後の行動や意欲に影響を及ぼす現象です。
感覚強化子と報酬が共存している状況で、報酬を減らすことによって行動が減ります。これは、クレスピ効果によるものです。
感覚強化子の個人差
感覚強化子は、個々の好みや感覚の差異に基づいているため、その効果は人によって異なります。
そのため、個人に合わせた感覚強化子を見つけることが、行動のポジティブな変化を促す上で重要となります。
内発的動機づけとなる感性強化子と外発的動機づけとなる感性強化子
感性強化子は、行動そのものが目的となる「内発的動機づけ」となるケースが多いです。
例えば、「ピアノを弾く」という行動を強化する場合、「ピアノを弾くことによって出てくる音」が強化子となるケースがあります。この場合、、自らの行動によって発生する音が強化子となるため、内発的動機づけとして位置付けられます。
一方で、「宿題を頑張ったらテレビを見ることができる」というルールにより宿題を頑張るという行動が強化される場合、「テレビを見る」という強化子は感性強化子を利用したものになりますが、こちらは外発的動機づけになります。