強化とは
強化とは、行動の直後の環境変化によって将来的なその行動の生起頻度が上がる現象です。
わかりやすく言うと、ご褒美をもらうことで行動が習慣化する現象のことです。
行動の強化が起こる条件
行動の強化(習慣化)は、行動の後に効果的な報酬を得た時に起きます。
この時の報酬のことを「強化子」と言います。
※強化子という単語はとても重要な用語なので覚えておいてください。
具体的には、以下の3つの条件を満たしたときに強化(習慣化)が起きます。
強化子(報酬)が、行動後にすぐに得ることができることで行動が強化(習慣化)されること
強化子(報酬)が、本人にとって魅力的であることで行動が強化(習慣化)されること
本人が今、欲している強化子(報酬)を提供することで行動が強化(習慣化)されること
強化の即時性
強化の即時性とは、行動後、速やかに強化子(報酬)を提供することで行動の強化(習慣化)が起きるという法則のことです。
行動を効果的に強化(習慣化)するためには、できるだけ早く強化子(報酬)を提供すると効果的です。
行動を強化(習慣化)するためには、行動後30秒以内に強化子(報酬)を提供する必要があります。
また、強化子(報酬)の提供が遅いと、意図していない行動を強化(習慣化)してしまう可能性があります。
強化子の有効性
強化子の有効性とは、提供する強化子(報酬)が本人にとって魅力的な場合の時に強化(習慣化)が起きるという法則のことです。
有効な強化子(報酬)を提供しなければ行動の強化(習慣化)は起きません。
例えば、嫌いな食べ物をもらっても、嬉しくないですよね?
食べ物を強化子(報酬)として使用する場合は、本人が好きな食べ物を提供する必要があります。
強化子(報酬)は、食べ物・飲み物や他人からの称賛・注目などが一般的ですが、個人差があるため、本人に合った強化子(報酬)を把握して提供しなければなりません。
動機づけ
動機づけとは、提供する強化子(報酬)は、本人が今欲しているものでなければならないという法則のことです。
強化子(報酬)を有効に機能させるためには、本人が欲している強化子(報酬)を提供する必要があります。
例えば、お腹がいっぱいの時に食べ物をもらっても嬉しくないですよね?
そのような状況の場合は食べ物の強化子(報酬)としての機能が低下していることになります。
強化の特性
行動の強化について、重要な特性を紹介します。
強化の自動性
強化の自動性とは、行動の強化(習慣化)は本人の意識・認知の有無に関係なく、自動的に起きると言う特性のことです。
強化(習慣化)が起こるためには、行動を理解したり言語化する必要はありません。気づく必要もありません。強化(習慣化)は本人の意思とは無関係に起きます。
強化の自動性の最もわかりやすい例が「癖」です。人間は誰しもが何らかの癖がありますが、これは本人が気づかない間に行動の強化(習慣化)を受けた結果です。
先行刺激
先行刺激とは、強化された行動の直前にあった刺激のことです。
行動が強化(習慣化)されると、その直前の刺激が先行刺激として機能するようになり、その行動を自発するきっかけとなります。
先行刺激の例は以下の通りです。
メッセージが届いて着信通知が鳴る
スマホを持ってロックを解除する
届いた通知を見る
という行動の場合、「スマホが光る」と言う刺激が、「スマホを手に取る」という行動の先行刺激ということになります。
強化とルール支配行動の違い
行動の強化(習慣化)とよく似た事象として、ルール支配行動があります。
以下に示す条件に当てはまる場合は強化(習慣化)ではなくルール支配行動となります。
- 行動に対する即時的結果がない
- 行動から結果までの時間差が30秒以上
- 行動が報酬の提供なしに変化する
- 1回の報酬の提供で、行動生起頻度の著しい増加が起こる
- 行動に対する結果が存在せす、ルールのみ存在する
- ルール支配行動は強化(習慣化)とは違う理論になるので、混同しないように注意してください。
強化を効果的に行うためのポイント
強化(習慣化)を効果的に行うためのポイントを紹介します。
強化子(報酬)提供のハードルを低くする
こまめに強化子(報酬)を提供することで、行動を効果的に強化(習慣化)できます。
そのためには、強化子(報酬)を提供するハードルを低くすることが有効です!
良質な強化子(報酬)を使用する
良い行動を行った後、良質な強化子(報酬)を、提供することで、行動を効果的に強化(習慣化)することができます。
個々人で好みがあるので、本人に合った強化子(報酬)を把握することが重要です。
多様な強化子(報酬)を使用する
行動を強化(習慣化)するためには、多様な強化子(報酬)を使用した方が良いです。
これは、同じ強化子(報酬)ばかり使用していると、飽きが来て効果が薄れるからです。
ちなみに、強化子(報酬)に慣れて効果が弱くなることを、専門用語で慣化と言います。
直接的な強化子(報酬)を使用する
行動を強化(習慣化)するためには、直接的な強化子(報酬)を使用した方が効果的です。
「後で」ではなく「今」
「あっち」ではなく「ここ」
「引換券」ではなく「現物」
が効果的です。
きっかけ、行動、報酬をセットにする
行動を強化(習慣化)するためには、「きっかけ」「行動」「強化子(報酬)」をセットにすると効果的です。
セットにすることで、「きっかけ」が先行刺激として機能するようになり、習慣化したい行動を自発しやすくなります。
定着するまでは毎回強化子(報酬)を提供する
新しい行動を学習する最初の段階では、行動の生起ごとに必ず強化子(報酬)を提供した方が良いです。
ちなみに、必ず強化子(報酬)を提供することを専門用語で連続強化と言います。
行動が習慣化し始めてから徐々に頻度を下げていくと良いです。
強化の種類
行動の強化(習慣化)に関する重要な用語の解説記事を紹介します。
正の強化
正の強化とは、ある反応に後続してある刺激を提示したときに、将来類似の反応の生起頻度が高まることです。
正の強化は
何かを与えて
行動を習慣化する
ことです!
負の強化
負の強化とは、ある反応に後続してある刺激が停止・現象した時に、将来類似の反応の生起頻度が高まることです。
負の強化は
何かを除去して
行動を習慣化
することです!
強化子
強化子(報酬)とは、反応の後に提示・除去することで、その反応の生起頻度を増加させる機能を持つ刺激です。
強化子(報酬)を使いこなせるようになると
行動をコントロールしやすくなります!