行動分析学に関する重要な用語を50音順で紹介します!
イントラバーバル
イントラバーバルとは言語間制御であり、質問に対し知識や連想によって答える行動です。
イントラバーバルは言語行動の1つです。
イントラバーバルは、言語的な弁別刺激によって喚起される言語オペラント行動で、先行する言語刺激と一対一に対応しない言語反応です。

イントラバーバルとは、
“考えて回答する”
言語行動のことですね!
イントラバーバルの例
- よく飲む飲み物は?
-
水です
- 日曜日を英語で書くと?
-
Sunday
- 今の気持ちは?
-
毎日色々なことを勉強できて、新しい知識が増えて楽しいです
これらのように、質問に対して知識や連想によって答える行動がイントラバーバルです。
エコーイック
エコーイックとは音声模範行動であり、他者が言ったことを聞いて繰り返して言うことです。
エコーイックは言語行動の1つです。
エコーイックは音声模範と呼ばれるオペラント反応で、話し手の提示する音声刺激と同一の音声反応が社会的な強化によって強化されます。
エコーイックは先行する音声刺激と音声反応が一対一に対応する反応であり、言語獲得に重要な役割を果たします。



エコーイックとは、
“真似をして繰り返す”
という言語行動ですね!
エコーイックの例
例えば、他者が「水」と言ったのを聞いて「水」と言うことです。
(例)誰かが「水」と言ったのの聞こえる
(例)聞こえた言葉を真似して「水」と言う
応用行動分析学(ABA:applied behavior analysis)
応用行動分析学とは、行動分析学を実社会に応用し役立てるための学問分野
行動原理から導き出される戦術を、社会的に重要な行動を改善するために組織的に応用して、実験を通じて行動の改善に影響した変数を固定する科学



“応用行動分析学”とは
“行動分析学”を実社会に“応用”して
現実に課題を解決するための学問です!
オペラント行動
オペラント行動とは、結果によって制御される自発的な行動のことです。



オペラント行動は、
外部からの刺激誘発される行動ではなく、
行動の“結果に基づく自発的な行動”です!


レスポンデント行動とオペラント行動
行動分析学では、行動を「レスポンデント行動」と「オペラント行動」に大別します。
- レスポンデント行動
-
特定の刺激により誘発される行動
- オペラント行動
-
行動の結果に制御される自発的行動
オペラント行動の例
オペランド行動の例は、以下のようなものがあります。
- 美味しそうな物を見て、手に取って食べる
- 部屋が暑いので、涼しくするためにエアコンのスイッチを押す
- ダンゴムシを見つけるために、石を持ち上げる
- わからないことを調べるために、スマホで検索をする
学習性行動
学習性行動とは、経験によって学習した結果、習得した行動のことです。
学習性行動は、個人が生きてきた過程の中で学習したことにより取得した行動であり、個々人で異なる行動パターンになります。



過去の経験から学習した結果、
習得した行動です!
学習性行動を習得する手続きを条件づけと言います。
生得性行動と学習性行動
- 生得性行動
-
遺伝により生まれた時から個体が習得している本能的な行動
- 学習性行動
-
個人が経験によって学習した結果、習得した行動
確立操作
確立操作とは、動機づけ操作の1つであり、強化子の有効性を高め、その強化子が影響を及ぼしていた行動の生起頻度を増加させる操作のことです。
確立操作は動機づけ操作の1つです。
確立操作の実例



暑い日のビールは最高です!
「暑さ」が「ビール」の強化子としての有効性を高めています!



空腹時は食べ物が美味しく感じます!
「空腹」が「食べ物」の強化子としての有効性を高めます!
確立操作と弁別刺激の違い
確立操作は「特定の状況で強化子の有効性が高まること」です。確立操作の対象は「強化子」です。
一方、弁別刺激は「この刺激の後に特定の行動を行うと強化子を得ることができることを学んでいること」です。弁別刺激の対象は「行動」です。
活動性強化子
活動性強化子とは、強化子として機能する「活動に従事する機会」のことです。


感性強化
感性強化とは、光や音といった感覚刺激による強化です。
強化
強化とは、行動の直後の環境変化によって将来的なその行動の生起頻度が上がる現象です。
強化には「正の強化」と「負の強化」があります。
「正の強化」とは、行動に対して報酬を与え、その行動頻度が増加することです。例えば「こどもがお手伝いをしてお小遣いをもらうことで、お手伝いを積極的に行う」のようなものがあります。
「負の強化」とは、行動することにより不快な状況が改善され、その行動頻度が増加することです。例えば「病院に行くことで痛みが消え、病院へ行く頻度が増える」のようなものがあります。
強化の即時性とは、反応から強化までの時間は短ければ短いほど良いという強化の特性のことです。
強化の自動性とは、強化が起こるためには人が行動と強化的結果の関係を理解したり気づいたりする必要がないという事実のことです。


強化子
強化子とは、反応の後に提示・除去されることで、その反応の生起頻度を増加させる機能を持つ刺激です。
例えば、良い行動に対して報酬を与えてその行動の生起頻度を増加させる場合、「報酬」が強化子に該当します。


強化子アセスメント
強化子のアセスメントとは、強化子の有効性を確認することです。強化子の有効性は個人や個人が置かれた環境によって変化するため、適時確認する必要があります。
強化子アセスメントの手法
- 手に取る回数、時間を測定する
- 注視する回数、時間を測定する
- 費やす時間を測定する
- 費やす金額を算定する
偶発的強化
偶発的強化とは、反応したときにたまたま偶然起きた環境変化によって行動が強化されることです。
行動
行動分析学での行動とは、人や動物などの個体が環境と相互作用する中で行うことです。
行動分析学においての「行動」は2種類に大別できます。
1つ目は、自発的な行動である「オペラント行動」です。もう1つは、刺激によって誘発される「レスポンデント行動」です。
行動主義
行動主義とは、行動の科学は可能であるとする思想です。
行動分析学(Behavior Analysis)
行動分析学とは、人を含む動物の行動を対象とした学問・分析手法です。
行動分析学の大きな特徴は、行動の要因を環境との因果関係によるものとして取り扱うことです。


コピーイング
コピーイングとは「書き写し」であり、書かれた文字を書き写す行動です。
例えば、水という文字を見て、水と書くことです。
コピーイングは言語行動の1つです。
三項強化随伴性
三項強化随伴性とは、「弁別刺激」、「オペラント反応」、「強化子の出現(消失)」の3つの関係のことです。
これらは時系列的に随伴関係にあります。
三項強化随伴性を分析することをABC分析と言います。これは、先行事象(Antecedent)、オペラント行動(Behavior)、後続事象(Consequence)の頭文字です。
時隔スケジュール
時隔スケジュールとは、前回の強化子提示から所定時間が経過した後の初発反応が強化されるスケジュールです。
時間経過後に強化準備段階となってからの1反応のみが必要とされます。
刺激
刺激とは、個体に影響を与えて行動を誘発するものです。
刺激=環境、と理解して良いです。
刺激性制御
刺激性制御とは、弁別刺激がオペラント行動を制御することです。
先行刺激があると反応の出現率、潜時、持続時間、大きさが変化するときに刺激性制御が起こるといいます。
弱化
弱化とは、行動の直後の環境変化によって将来的なその行動の生起頻度が下がる現象です。
弱化には「正の弱化」と「負の弱化」があります。
「正の弱化」とは、行動に対して刺激(罰等)を与え、その行動頻度が減少することです。例えば「こどもが悪戯をしたことに対して罰を与えることにより、悪戯の頻度が減る」のようなものがあります。
「負の弱化」とは、行動に対して刺激の消失・除去により反応が減少することです。例えば「交通違反に対して違反金を徴収することで交通違反行動が減少する」のようなものがあります。罰金が「金銭の除去」=「刺激の除去」として機能します。


弱化子
弱化子とは、反応の後に出現・提示されることで、その反応の生起頻度を減少させる機能を持つ刺激です。
例えば、悪い行いに対して罰を与えてその行動の生起頻度を減少させる場合、「罰」が弱化子に該当します。
集団随伴性
集団随伴性とは、集団で遂行する活動において、特定の行動や遂行結果によって集団全員に対して強化が随伴される操作のことです。
馴化
馴化とは、刺激の反復提示により、刺激の根源的効果が弱まることです。
馴化の特徴
- 馴化は刺激を繰り返し提示することによって起こり、反応の減少量は馴化の進行により少なくなる
- 刺激提示の中断後、反応は回復し(自発的回復)、回復時の反応は中断時間が長いほど大きい
- 馴化は刺激の時間当たりの繰り返し頻度が大きいほど、また弱い刺激ほど進む
- 馴化の効果は反応がゼロあるいは漸近的レベルに達した後にもそれを超えて起こりうる。すなわち過剰学習の効果がある。
- ある刺激への反応の馴化は、類似した他の刺激にも現れる(刺激馴化)
- 馴化→自発的回復→馴化→自発的回復というように繰り返し馴化を行うと馴化は次第に早くなる。(馴化の増強)
- 別の刺激の提示は、その順化された反応を回復させる(脱順化)
消去
消去とは、反応が生じても強化子をいっさい提示しないことです。
条件強化子
条件強化子とは、元々強化の機能を持たない中性刺激だったが、他の無条件強化子や条件強化子との対提示を通じて経験的に強化の機能を獲得した刺激です。
条件刺激(conditioned stimulus, CS)
条件刺激とは、条件づけによって新たに反応を誘発するようになった刺激のことです。
条件刺激は英語でconditioned stimulusであり「CS」と略称されます。
条件づけ
条件づけとは、新しい行動を習得するために、刺激と反応を関連付けることです。
学習性行動を習得するための手続きです。
条件反応(conditioned response, CR)
条件反応とは、条件づけによって新たに誘発するようになった反応のことです。
条件反応は英語でconditioned responseであり「CR」と略称されます。
随伴性
随伴性とは、行動と環境の相互関係のことです。
行動が環境に与える影響、環境が行動に与える影響・関係性のことであり、この随伴性により行動を説明することが行動分析学の核となる部分です。
行動=反応、環境=刺激、とも言います。
生得性行動
生得性行動とは、本能的な行動のことです。
遺伝により生まれた時から個体が有している行動です。
正の強化
正の強化とは、ある反応に後続してある刺激を提示したときに、将来類似の反応の生起頻度が高まることです。
簡単に説明すると、ある行動の後に特定の刺激を与えた結果、その行動が将来的に増えることです。


正の弱化
正の弱化とは、ある行動の直後に刺激を提示して、その行動の将来の生起頻度が減ることです。


タイムアウト
タイムアウトとは、特定の行動を起こすことを条件として、一定期間、正の強化を得る機会を取り除くことです。
タクト
タクトとは報告言語行動であり、環境内の物や出来事などを他者に伝える言語行動です。
例えば、水を見て「水」と言うことです。
多層ベースライン法
多層ベースライン法とは、ベースライン条件で複数の従属変数を同時並行して反復測定した後、それぞれの従属変数に対してタイミングをずらしながら独立変数を操作して実験条件を導入する実験計画です。
ディクテーション
ディクテーションとは「書き取り」であり、話された言葉を書き取る行動です。
例えば、「水」と言われて「水」と書くことです。
ディクテーションは言語行動の1つです。
テクスチュアル
テクスチュアルとは読字行動であり、書かれた言葉を読む行動です。
例えば、水という文字を見て、水と言うことです。
テクスチュアルは言語行動の1つです。
徹底的行動主義
徹底的行動主義とは、「意識」も行動として分析できるという考え方のことです。
徹底的行動主義の提唱者であるスキナーは、行動の定義を以下のように説明しています。
「行動とは、個体の働きのうちで、外界に働きかけまたは交渉を持つものである」
スキナーは従来の行動主義である「公共的に観察することのできない出来事は科学の対象とはならない」とする考え方を「方法論的行動主義」と呼び、「徹底的行動主義」と区別しています。
動機づけ操作
動機づけ操作とは、ある刺激の強化子としての有効性を変更し、行動の頻度を変更する操作のことです。
強化子の効力を増加させる操作を確立操作、減少させる操作を無効操作と言います。
確立操作はその行動の生起頻度を増加させ、無効操作は生起頻度を減少させます。
淘汰性行動
淘汰性行動とは、その行動の後続事象よって将来の生起確率が増減するような行動のことであり、
淘汰性行動=オペランド行動 です。
トークン・エコノミー法
トークン・エコノミー法とは、標的行動の生起に対してトークンを与えることで、その行動の生起頻度を高めることを目指す応用行動分析学の技法です。
トラッキング
トラッキングとは、ルールに沿った行動の結果により維持されるルール支配行動です。
「ルールを守ることでメリットがあった」と感じることが出来た結果、守られるルールです。
般化
般化とは、異なる刺激に対して同じ反応が生じることです。
反応
反応とは、個体が環境に対して働きかけることです。
「反応=行動」です。
反応形成(シェイピング)
反応形成(シェイピング)とは、最終的な標的行動を生起するために、標的行動の形態に似ている反応に対して分化強化することです。
比率スケジュール
比率スケジュールとは、前回の強化子提示からの反応数に依存して強化子が提示されるスケジュールです。
所定の反応数がなされるまでに要した時間は関係ありません。
負の強化
負の強化とは、ある反応に後続してある刺激が停止・減少したときに、将来類似の反応の生起頻度が高まることです。
簡単に説明すると、ある行動の後に特定の刺激がなくなった(減少)した結果、その行動が将来的に増えることです。


プライアンス
プライアンスとは、ルールと行動の一致に対して、他者が強化子や弱化子を提示することによって維持されるルールです。
「ルールを守らないと怒られる」
「ルールを守れば褒められる」
といった動機により守られるルールです。
プレマックの原理
プレマックの原理とは、「気が進まないけどやらなければならない行動」を実施したのち「好きな行動」をできるというルールを設けることで、「気が進まないけどやらなければならない行動」を習慣化できるという原理です。
プロンプト
プロンプトとは、行動の前に提示され、学習の標的となる行動が生起する確率を高める補助的な刺激です。
分化強化
分化強化とは、特定の行動のみを強化し、それ以外の行動は強化しない手続きを取ることです。



何らかの特性に基づいて
選択的に強化操作を行うことです!
弁別
弁別とは、異なる刺激に対して異なる反応が生じることです。
弁別刺激
弁別刺激とは、反応の手がかりとして機能するようになった刺激のことです。
反応を制御するようになった刺激のことです。
弁別刺激はSDと表記します。
マンド
マンドとは要求言語行動であり、他者に対して特定の行動を要求する言語行動です。
水が欲しくて「水」と言うような言語行動です。
無条件強化子
無条件強化子とは、生得的に行動を増加させる機能を持つ強化子です。
食べ物や水などであり、本能的に強化子として働くもののことです。
無条件強化子は一次強化子とも言います。
無条件刺激(unconditioned stimulus, US)
無条件刺激とは、特別な経験がなくても、反応を誘発する刺激のことです。
本能的な反応を誘発する刺激と言えます。
無条件刺激は英語でunconditioned stimulusであり「US」と略称されます。
無条件反応(unconditioned response, UR)
無条件反応とは、特別な経験がなくても、生じる反応のことです。
本能的な反応と言えます。
無条件反応は英語でunconditioned responseであり「UR」と略称されます。
モデリング
モデリングとは、指導者がモデルとなって見本となる標的行動実際に示すことにより、標的行動の生起を促す方法です。
誘発性行動
誘発性行動とは、先行する環境変化によって誘発される行動のことです。
「誘発性行動=レスポンデント行動」です。
ルール支配行動
ルール支配行動とは、ルールに制御される非言語的な行動であり、ルールによって生じる行動のことです。
ルール支配行動には「トラッキング」「プライアンス」「オーギュメンディング」といった種類があります。


レスポンデント行動
レスポンデント行動とは、特定の刺激によって誘発される行動のことです。
レスポンデント行動は、自発的な行動ではなく、外部からの「刺激」によって引き起こされる行動です。
例えば、「美味しそうな物を見て、ヨダレが出る」「部屋の中が暑くて、汗をかく」といった行動がレスポンデント行動です。


連続強化
連続強化とは、行動に対して毎回強化子を提示することです。
FIスケジュール
FIスケジュールとは、固定時隔スケジュールのことです。
強化子提示に必要とされる経過時間が一定の時隔スケジュールです。
FIはfixed-intervalの頭文字です。
FI10は前回の強化から10秒経過後の初発反応に対して強化子が提示されることを意味します。
FRスケジュール
FRスケジュールとは、固定比率スケジュールのことです。
強化子提示に必要とされる反応数が一定の比率スケジュールです。
FRはfixed-ratioの頭文字です。
FR10は前回の強化から10回目の反応に強化子が提示されることを意味します。FR1は連続強化と同義です。
VIスケジュール
VIスケジュールとは、変動時隔スケジュールのことです。
強化子提示に必要とされる経過時間が変動する時隔スケジュールです。
VIはvariable-intervalの頭文字です。
VI10秒は、あるときは3秒経過後の初発反応で、あるときは数十秒経過後の初発反応で強化子が提示されるかも知れないが、複数回の試行を通じて平均10秒経過後の反応に強化子が提示されます。
VRスケジュール
VRスケジュールとは、変動比率スケジュールのことです。
強化子提示が必要な反応数が変動する比率スケジュールです。
VRはvariable-ratioの頭文字です。
VR10はあるときは3回の反応で、あるときは30回の反応で強化子が提示されるかもしれないが、複数回の試行を平均すると10回目の反応で強化されます。