この記事で伝えたいこと
今、サブスクが流行っていますが、サブスクが人気になった理由を認知バイアスの観点から考察します。
サブスクに関係する認知バイアスについて知ることで、認知バイアスの罠に陥る可能性が低くなり、サブスクと上手に付き合うことができるようになります。
サブスクに影響がある認知バイアスの紹介
サンクコスト効果
サンクコスト効果とは、すでにかなりの時間や労力を投入したときに、それを無駄にしたくないと考える傾向です。
サブスクだけではないですが、費用を先払いする事で「せっかくお金を払ったのに使わなかったらもったいない」という心理が働きます。
その結果、サービスを積極的に使おうとするため、「単純接触効果」や「認知的不協和の理論」につながります。
現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、何かを選択する際に、現状維持やデフォルトの選択肢を選ぼうとする傾向です。
サブスクには、「最初の1ヶ月は無料」といったお試し期間があることが一般的です。このお試し期間があることで、「とりあえず契約して、無料で、お試しをする」という行動の心理的ハードルが下がり、「契約をしている状態」=「現状」となり、「現状維持バイアス」により、契約を維持する動機につながります。
損失回避性
損失回避性とは、利得と損失による心理的効果を比較した場合、損失の効果が大きくなる性質である。
サブスクは定額で使い放題となるサービスのため、一度契約をすると、「使わないことが損」「使えば使うほど得」という発想になります。
そのため、サービスをたくさん利用しようとするため、「単純接触効果」や「認知的不協和の理論」の影響を受けやすくなります。
単純接触効果
単純接触効果とは、繰り返し見聞きしたものに対して好みや親しみが増す現象です。
多くのサブサブに「無料お試し期間」などがあります。人間の心理としてはその無料期間にたくさんサービスを利用して、サービスの中身の理解や、無料でサービスを利用することによるお得感を得ようとします。
このような動機で積極的にサービスを利用しようとする結果、サービスに触れる回数が多くなり、「単純接触効果」により、そのサービスを好きになることが考えられます。
認知的不協和の理論
認知的不協和の理論とは、自分の中に矛盾や葛藤があるとき、理由を作ってその矛盾を解消しようとする現象です。
上記の「損失回避性」や「単純接触効果」により、サブスクを一度契約すると、たくさん使おうとする動機が発生します。
実際にたくさん使うと、「これだけたくさん使っているのだから、価値があるものに違いない」と考えるようになります。これが、「認知的不協和の理論」です。
認知的不協和の理論は
「たくさん触れる」=「価値があるもの」
と自分自身を信じさせようとする認知バイアスです。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、元々興味がなかったものでも、人気があると分かると興味が出る傾向です。
今はありとあらゆる種類のサブスクがありますが、昔はそんなにたくさんありませんでした。
元祖サブスクは「新聞」の定期購読かと思いますし、サブスクという名称が認知され始めてからは「音楽配信」の流行ではないかと思います。
音楽配信のサブスクが流行った背景には、ネットワーク関係の技術革新により通信インフラの充実や低コスト化が進んだという時代の背景があります。
そして、一度「サブスク」というものが流行り出すと、「バンドワゴン効果」により、「サブスク」に興味を持つ人が増えてサブスクのサービスが乱立する状態となります。
元々はサブスクとは呼んでいなかったサービスもサブスクと呼ばれるようになり、どんどん流行が加速していきます。
保有効果
保有効果とは、自分が保有している物の価値を、通常以上に高く評価して手放したくないと考えてしまう傾向のことです。
サービスでも物でも、人間は一度自分で保有すると、「手放したくない」と考える傾向があります。これを「保有効果」と言います。
例えば、「毎月オススメの○○ご自宅にお届けします」のようなサービスの場合、自宅に届けられた時点で「自分が保有している」と考えて、その送られた物の価値を高く評価しがちになります。
その結果、サブスクのサービス自体も「価値が高い物」と認知しやすくなります。
サブスクと上手に付き合う方法
サブスクには様々な認知バイアスが関係しています。認知バイアスは心の錯覚であり、影響を排除することはできません。唯一できるのは、認知バイアスについて知ることです。「○○の認知バイアスの影響を、今受けているかもしれない」と気付くことがてきるようになることです。そうすることで、認知バイアスの効果を軽減することができます。
サブスクは便利で楽しいですし、認知バイアスは悪ではありません。サブスクも認知バイアスも、よく知って適度な距離感で上手に付き合うことが大切です。