【質問】選挙カーが候補者の名前を連呼することに効果はあるんですか?
選挙の時期になると、選挙カーが名前を連呼しています。正直、逆効果ではないかと思うのですが、効果はあるんでしょうか?
【回答】「単純接触効果」により、無意識のうちに好感や親しみが増している可能性があります。
人間は、繰り返し見聞きしたものに対する好感や親しみが増す傾向があります。これを、「単純接触効果」といいます。この効果は、本人の意識とは無関係で生じます。
選挙カーが候補者の名前を連呼する効果を認知科学的に考える
選挙の時期になると、選挙カーがうるさいと思うことありますよね。
「○○でございます。○○でございます。〇〇をよろしくお願いします。」
と、車から名前を繰り返しながら連呼して、町中を巡回しています。
名前を繰り返し連呼していて、ただうるさいだけで意味がないのではいだろうか?
そう思ったこと、ありますよね。
選挙カーが候補者の名前を連呼する効果について、認知科学的に考えてみます。
候補者の名前を連呼することで、「単純接触効果」により候補者への好感・親しみが無意識に増す
候補者の名前を連呼することで、有権者は候補者の名前を繰り返し耳にすることになります。
この、「繰り返し耳にする」という事象が、「単純接触効果」となり、候補者への好感・親しみの増加に寄与している可能性があります。
単純接触効果とは
単純接触効果とは、繰り返し見聞きしたものに対する好みや親しみが増す現象です。
単純接触効果は、本人の自覚の有無に関わらず効果を発揮します。
関連記事⇒単純接触効果とは【繰り返し見聞きすると親しみが増す】
単純接触効果に惑わされないために
選挙のような厳正なものに単純接触効果が働くのは、ある意味有権者を騙すような行為のようにも感じます。
しかし、現実問題として、単純接触効果は多くの実験で証明されている事実です。本人の自覚の有無に関係なく効果を発揮しますので、単純接触効果の影響を完全に排除するのは無理です。
単純接触効果に惑わされずに正しい判断をするためには、まずは「単純接触効果」という効果があることを知ることが大切です。
その上で、自分で情報を収集して適切な判断を行う必要があります。
しかし、人間の特性は「単純接触効果」だけではありません。情報収集を行う際、人間は自分が正しいと思っている情報を集めたがる傾向があります。これを「確証バイアス」と言います。
関連記事⇒確証バイアスとは【自分を正当化する情報を集めたがる】
適切な判断をするためには、人間には様々な認知バイアスがあることを知り、それらを理解し、上手に付き合っていくことが大切です。