ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、他者から期待されることにより、成果や成績が上がる効果のことです。
上司が部下に期待することで部下の成果が上がる場合や、教師が生徒に期待するることで生徒の成績が良くなる場合があります。
ピグマリオン効果の語源
ギリシャ神話に登場するピグマリオン王は、自身がつくった彫像の乙女ガラテアに恋をします。ガラテアが人間になって欲しいと願い続けていると、やがて女神がその願いを聞き入れ、ピグマリオンは人間になったガラテアを妻にしました。
願い続けていると本当にそのとおりになるというエピソードから、この神話が「ピグマリオン効果」の由来となりました。
ピグマリオン効果の実験
メトロポリタン生命の社員に対する実験
営業チームの編成、メンバー構成
メトロポリタン生命という企業で、能力によってチーム分けをした際のチームの成績についての報告があります。
最も優秀なアシスタントマネージャーの元に最も優秀な新人営業職員を配置したチーム、平均的なアシスタントマネージャーの元に平均的な新人営業職員を配置したチーム、実力の劣るアシスタントマネージャーの元に実力の劣る新人営業職員を配置したチームの3チームを編成しました。
チームごとの営業成績結果
それぞれのチームの営業成績を比較すると、当然ながら以下のような結果となりました。
最も優秀なチーム > 平均的なチーム > 実力の劣るチーム
しかし、ここで注目すべき点がありました。
それは、「平均的なチーム」の成績が、平均的な成績と比較すると著しく向上していました。
平均的なチームの成績が著しく向上した理由
理由を調べると、平均的なチームのアシスタントマネージャーは、以下のような言葉でチームメンバーを鼓舞していたことが分かり増した。
「このグループのメンバーは最も優秀なチームのメンバーよりも優れた潜在能力を持っているんだ。」
「ただ営業の経験が不足しているだけなのだ」
「最も優秀なチームを打ち負かすことに挑戦して欲しい」
このような言葉をかけることで、チームメンバーに対して優れた実績を達成できるという期待感を醸成することで、生産性を著しく高め、営業成績が著しく向上する結果につながりました。
ピグマリオン効果の応用例
子供や生徒への接し方
ピグマリオン効果は上司→部下だけではありません。
教師→生徒や親→子供へも効果が発揮されます。
人に何かを教えるとき、子供に何かを教えるとき、相手に対して期待をしていますか?
期待をすることで相手のパフォーマンスが上がるのがピグマリオン効果です。
しっかりと誠意を持って、相手に期待をして接するようにしましょう。
そうすることによって、ピグマリオン効果により、パフォーマンスが向上します。
第一印象が大切
対人関係で「第一印象が大切」と言われますが、何故そうなのか考えたことはありますか?
1つの仮説として、第一印による影響をピグマリオン効果によって説明をすることができます。
自分の第一印象が良いと、相手は自分に対して自然と好感を持つことになり、相手は自分に対して期待を持ちます。
相手が自分に対して期待を持ってくれたら、あとはその期待がピグマリオン効果に繋がり、自分のパフォーマンスが上がります。
第一印象を良くすることによって、結果的に自分のパフォーマンスが上がることになります。
相手のためではなく自分のためになるんです。
面白いですよね。
イメージトレーニング
イメージトレーニングってありますよね?
効果があるのかどうか議論になることもありますが、イメージトレーニングの効果の仮説の1つとして、ピグマリオン効果によるパフォーマンスの向上があります。
何かをする前にイメージトレーニングを行うことで、自分の中で成功イメージを構築することになります。
その「成功イメージ」は言い方を変えると「自分への期待」となります。
その期待が、ピグマリオン効果となり、自分自身のパフォーマンスを上げることになります。
自分への期待を自分自身で作り出す、これがイメージトレーニングなのかもしれません。
いつも綺麗にご利用いただきありがとうございます
飲食店などのトイレに「いつも綺麗にご利用いただきありがとうございます」という張り紙を見たことがあると思います。これは、ピグマリオン効果を狙ったものです。
「いつも綺麗にご利用いただきありがとうございます」と張り紙をすることで、利用者に対して「綺麗に使ってくれることを期待していますよ」というメッセージになり、結果的に利用者が綺麗に使うようになります。
トイレなどでよく見かけますが、トイレ以外の場所でも、もっと活用ができるはずです。
参考文献