なぜ、「2度あることは3度ある」と「3度目の正直」という矛盾する慣用句が存在しているんですか?【利用可能性ヒューリスティックと平均への回帰】

目次

【質問】「2度あることは3度ある」という言葉と「3度目の正直」という言葉がありますが、矛盾していませんか?

「2度あることは3度ある」という言葉と「3度目の正直」という言葉がありますが、矛盾しているように感じます。どちらかが正しいのであれば、どちらか正しい方だけ言葉として残りそうですが、何故慣用句として両方残っているのでしょうか?

【回答】どちらも正しいから言葉として残っています。

どちらも正しいからどちらの言葉も残っていますが、どちらかと言うと「3度目の正直」の方が当たる可能性が高いと考えられます。

「2度あることは3度ある」について認知科学的に考える

「2度あることは3度ある」とは、「2回連続で起きた事象は、3回連続で起きる」という意味です。

これは、認知科学的に考えると「利用可能性ヒューリスティック」により人々の中にイメージとして定着したと考えられます。

利用可能性ヒューリスティックとは

利用可能性ヒューリスティックとは、思い浮かびやすい事象は起きやすいと判断する傾向です。

報道などでよく見る話などについて、実際に起きる割合よりも高い割合と考えがちな傾向があります。

 関連記事⇒利用可能性ヒューリスティックとは【思い浮かびやすいことはよく起こる?】

「3度目の正直」について認知科学的に考える

「3度目の正直」とは、「仮に2回失敗していたとしても、3回目には思い通りの結果になる」という意味です。

これは、認知科学的に考えると、「平均への回帰」が起きていると考えることができます。

本当に実力があるのであれば、統計学的に考えて2回連続で失敗することはかなり不運であり、3回目は過去2回よりも良い結果が出る可能性が高いと言えます。

平均への回帰とは

平均への回帰とは、何度も試験をすれば成績が平均へ近づくことです。

 関連記事⇒平均への回帰とは【まぐれは何度も続かない】

「2度あることは3度ある」と「3度目の正直」の違い

「2度あることば3度ある」は、「利用可能性ヒューリスティック」です。3度あることもあれば、そうでないこともあります。それ以上でも以下でもありません。科学的に正しい・誤りはなく、そうなることもあるというだけです。

一方、「3度目の正直」は平均への回帰です。統計的に正しいです。また、「3度目の正直」は、1度目と2度目の失敗を活かして3度目に成功するという考え方もあります。

そのため、結果的に「2度あることは3度ある」より、「3度目の正直」の方が、当たる可能性が高いと考えられます。

「2度あることは3度ある」も「3度目の正直」も、一旦それを正しいと思い込むと、「確証バイアス」によって信頼性が高まり、言葉として残ったものと考えることができます。

確証バイアスとは

確証バイアスとは、自分が信じたことを裏付けようとする傾向であり、自分の考えを正当化するための情報ばかり探してしまう現象です。

 関連記事⇒確証バイアスとは【自分を正当化する情報を集めたがる】

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次