ピーク・エンドの法則とは【印象は「ピーク」と「エンド」で決まる】

目次

ピーク・エンドの法則とは

ピーク・エンドの法則とは、記憶に基づく評価がピーク時と終了時の印象の平均で決まるという法則です。

ピーク・エンドの法則の実験

冷水実験

実験方法

参加者は「終わり」と言われるでまで、片手を手首まで冷水に浸します。その時、もう片方の手は感じている苦痛の度合いを記録します。

実験はAパターン(標準実験)とBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)の2種類があります。

1回目と2回目は、Aパターン(標準実験)とBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)の実験を行います。

3回目は、Aパターン(標準実験)かBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)のどちらかを被験者に選んでもらい、選んだパターンの実験を行います。

参考文献:『ファスト&スロー』/ダニエル・カーネマン著/早川書房/2012年

1回目と2回目の実験を行う

1回目と2回目は、Aパターン(標準実験)とBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)の実験を行います。

どちらの実験を先にやるかはランダムに決定します。

Aパターン(標準実験)を行う

14℃の冷水に60秒間片手を浸します。

ちなみに、14℃の水はかなり冷たいが我慢できる程度の温度です。

Bパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)の実験を行う

14℃の冷水に60秒間片手を浸します。

ここまではAパターンの実験と全く同じです。

60秒を過ぎた後、14℃の水にお湯を流し来みます。そして、約1℃温度が上昇した水に追加で30秒間手を浸します。

3回目の実験を選んでもらい実施する

Aパターン(標準実験)とBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)が終わった後、被験者に「今から3回目の実験をやるが、Aパターン(標準実験)とBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)のどちらが良いか?」と質問します。

実験結果

3回目に行う実験がAパターン(標準実験)とBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)どちらが良いか質問した結果、被験者の80%がBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)を選びました。

Aパターン(標準実験)とBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)を比較すると、苦痛の総量としては間違いなくBパターンの方が多いにも関わらず、実験最後の苦痛の最大値が小さいBパターン(標準実験の最後に温度を少し上げた冷水に追加で手を浸す)の方が印象としては苦痛が少なかったということになります。

ピーク・エンドの法則の応用例

面接の印象

就職活動や資格試験などの面接の評価は、ピークエンドの法則の影響を受けます。

ピークエンドの法則によると、面接の評価はピーク時と終了時の印象で決まります。面接の「ピーク」をコントロールするのは難しいかもしれませんが、「エンド」を意識することは非常に大切です。

面接の最後の質問の定番は「最後に何か質問や言いたいことはありますか?」ですよね。

この質問に対する答えをしっかりと用意しておくことは、面接の「エンド」の印象を良くするためにとても大切なことです。

プレゼンテーションの印象

人前でプレゼンをすることがあると思いますが、プレゼンの印象もピークエンドの法則の影響を受けるものと言えます。

良いプレゼンは、「ピーク」と「エンド」の印象が良いプレゼンとなります。

ピークエンドの法則を考慮した良いプレゼンのコツは、「伝えたいメッセージを明確に伝える」というピークを設定することと、プレゼンの最後に「まとめ」を行い相手が納得感を持った状態でプレゼンを終えることと言えます。

終わりよければ全てよし

「終わりよければ全てよし」という言葉がありますが、これもピーク・エンドの法則をあらわした言葉だと言えます。

何か問題やトラブルがあったとしても最後に丸く収まれば良いという考え方は、まさに「エンド」の印象によって物事全体の良し悪しの印象が決まるという考え方となります。

「終わりよければ全てよし」という言葉は16世紀末のシェークスピアの作品が由来とされていますが、その言葉の正当性を「ピーク・エンドの法則」として現代の科学で証明したと言えます。

参考文献紹介

 ⇒ファスト&スロー あなたの意志はどのように決まるか?【参考文献紹介】

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