ホーソン効果とは
ホーソン効果とは、「自分は観察されている」という本人の認知によって、パフォーマンスが向上する効果のことです。
ホーソン効果の実験
実験概要
ホーソン工場で、照明、休憩時間、部屋の温度などの客観的に計測できる物理的環境と生産性の関係の実験が行われました。
物理的環境と生産性の関係を調べることを目的として行われた実験でしたが、実験結果は、生産性への影響は物理的環境よりも「観察されている」という社会的影響によるものによる影響が大きいというものになりました。
照明の照度の変化と作業能率についての実験
作業室内の照明の質と量が従業員の作業能率にどのような影響を及ぼすかを確認する実験を行いました。
通常よりも照度を上げながら作業能率を確認し、その後、照度を下げていきながら作業能率を確認しました。
実験の結果は、照度を上げた際、下げた際いずれも作業能率が上がるという結果となりました。
この結果より、作業能率は人間的要因による影響が大きいという結論が導き出され、「研究に参加している」「自分たちは観察されている」という本人の認知により、パフォーマンスが向上するという「ホーソン効果」が導かれました。
労働時間や休憩時間の変化と作業能率についての実験
労働時間や休憩時間の変化が、従業員の作業能率にいかなる影響を及ぼすかを確認する実験を行いました。
作業の合間の休憩の回数や時間を変化させたり、作業そのものに従事する時間を変化させ、作業能率がどのように変化するかの確認を行いました。
実験の結果は、照明の実験と同様、作業能率の変化は、労働時間や休憩時間よりも人間的要因による影響が大きいという結論が導き出されました。
ホーソン効果の応用例
現場の巡回や声掛け
仕事を円滑に進めるためには、上司から部下に対してのこまめな声掛けや、監督者による作業現場の巡視が重要と言われることがありますが、これは、ホーソン効果を狙った取り組みと言えます。
ホーソン効果は、「自分たちは観察されている」という意識が、仕事の能率を上げる効果があるというものです。
上司から部下に対しての声掛けを行う時に、少しの変化に気づいて部下を気遣うような声掛けを行うことで、部下は「自分のことを見てくれている」と感じ、ホーソン効果によって仕事のパフォーマンスが上がることが期待できます。
現場の巡視についても、日々巡視を行うことで、作業をしている人が「自分の仕事を見てくれている」と感じ、作業効率や作業の質が向上し、良い仕事につながると考えられます。
目標を人前で宣言
目標を達成するためには人前でその目標を宣言すると良いと言われますが、これもホーソン効果を狙ったものと言えます。
人前で目標を宣言することで、周りの人が自分の目標に対して注目する環境を自ら作り出し、結果的に「自分は観察されている」と思える環境を作り出していると言えます。
その結果、ホーソン効果により、自分自身のパフォーマンスが上がり、目標達成に近づくことができるというものになります。
カフェで勉強
カフェで勉強をすると集中できるということがありますが、これもホーソン効果の応用と言えます。
カフェで勉強をするということは、周りの視線がある中で勉強をするということになります。周りの視線があるということを、「自分のことを周りの人が観察している」ととらえることにより、ホーソン効果によりパフォーマンスが上がる可能性があります。
図書館や塾や大学などの自習室で勉強するのも同じ効果を狙ったものと言えます。