計画の錯誤とは
計画の錯誤とは、仕事や課題を行う際の作業にかかる時間の見積りを行う際に、実際にかかる時間よりも短く見積もってしまう傾向のことです。人間は、かなり楽観的な見積もりを行う傾向があります。
作業時間の予測を行う際に、タスクを積み上げて作業時間を見積ることが多いと思いますが、この方法は「内部情報に基づくアプローチ」と呼ばれ、計画の錯誤の要因となっています。
計画の錯誤の影響を取り除くためには、過去の類似ケースをもとに見積もりを行う「外部情報によるアプローチ」による見積もりを行うことが必要です。
内部情報に基づくアプローチとは
内部情報に基づくアプローチとは、手元の情報を元に、タスクを積み上げて作業時間を見積もる方法のことです。
一見、適切な見積もり方法だと感じますが、内部情報に基づくアプローチは、ベストケースシナリオとなることが多く、内部情報に基づくアプローチによる予測は計画の錯誤に陥る可能性が高くなります。
外部情報に基づくアプローチとは
過去の類似ケースの実績から作業時間を見積もることを、外部情報に基づくアプローチと呼びます。
外部情報によるアプローチの場合は、過去の実績を元に見積もりを行うため、不測のイレギュラーな遅延についても考慮した予測が可能となります。その結果、見積りの精度が高くなります。
計画の錯誤の例
夏休みの宿題が終わらない
夏休みの宿題、予定通り終わらないことが多いですよね。
「毎日○○ページやる」「毎朝○○ページやる」といった目標を立てることが多いと思いますが、実際にはなかなかうまくいきません。
「体調を崩す」「急に家族で出掛ける」「親戚が急に来た」など、予測困難な事象の発生を全く見込まない計画になっているため、計画通りに進まないケースが多くなります。
貯金ができない
貯金をしようと心に誓い、貯金の計画を立てたことがあると思います。
「〇月までに〇〇万円貯める」「〇〇歳までに〇〇〇万円を貯める」といった目標です。目標通り貯まりましたか?なかなか難しいことが多いと思います。これも、計画の錯誤によるものと言えます。
貯金の計画を立てるときは、給料が最初に決まっていて、そこから支出を検討し、毎月の貯金額の計画を立てることが多いと思います。この方法は、まさに内部情報に基づくアプローチによる見積もりです。この方法での見積もりは、ベストケースシナリオであり、イレギュラーが発生すると破綻しやすい計画です。
冷静に考えてみてください。急に収入が増えたことはありますか?予想外に突発的にまとまった収入が入ったことはありますか?おそらく、ほとんどないと思います。あったとしても、かなり頻度は少ないのではないでしょうか。
では逆に、急に支出が増えたことはありますか?予想していない突発的な支出が発生したことはありますか?おそらく、こちらはよくあると思います。突発的な支出を完璧に予想することは困難です。その困難さが計画の錯誤につながります。
計画の錯誤と上手に付き合うために
計画の錯誤と上手に付き合うためには、まずは何か予想・見積もりを行う際には「内部情報によるアプローチ」ではなく「外部情報によるアプローチ」を用いて実施するよう心がけてください。
どうしても「内部情報によるアプローチ」を行う場合は、可能な限り不測の事態を予想・見積もりに取り入れてください。ただ、予測ができないから「不測の事態」なのであって、それが予測できるのであれば「不測の事態」ではありませんね。やはり、「外部情報によるアプローチ」を行うことが唯一の対応かもしれません。