持続時間の無視とは
持続時間の無視とは、過去の事象を思い出して良否の評価するときに、その事象の継続時間は無視されて、その事象から生じた瞬間的な絶対値の良否の度合いによって評価をする傾向です。
「持続時間の無視」は「ピークエンドの法則」と関係性が深いです。
ピークエンドの法則とは
ピーク・エンドの法則とは、記憶に基づく評価がピーク時と終了時の印象の平均で決まるという法則です。
参考記事⇒ピーク・エンドの法則とは【印象は「ピーク」と「エンド」で決まる】
持続時間の無視の例
学生時代の思い出
大人になってから学生時代を思い出すと「あの頃はよかったなぁ」と思う方が多いと思います。
実際に自分が学生の時は、毎日どう思っていたでしょうか?「毎日学校に行くのが楽しみ」「友達に会うのが楽しみ」「早く学校に行きたい」そう思っていましたか?そう思っていた方は、幸せな学生時代だったんだと思います。とても良いことです。
私はそうではなかったと思います。「今日は学校行きたくない」「まだ〇時間目…」「授業が始まってまだ5分しか経ってない」「今日は部活サボりたい…」「雨で部活の練習が中止になって嬉しい!」こんな思いをした経験が山ほどあります。
なぜ、当時はあんなに嫌だったはずなのに、後で振り返るといい思い出になっているのでしょうか?思い出は美化されると言ってしまえばそれまでですが、思い出の美化は「持続時間の無視」の影響によるものと言えます。つまらない日常が持続していたことを無視し、良いことだけを思い出して「あの頃は良かった」と考えています。
継続は力なり
「継続は力なり」という言葉があります。「継続は力なり」と聞くと、「確かにそうだよなぁ、継続は大切だよなぁ」と感じるかもしれませんが、そんなもんではありません。継続が全てと言っても過言ではありません。考えてみてください。継続せずに何かを成し遂げたことがありますか?ほとんどないはずです。それだけ、継続は大切なんです。
自分でも他人でも良いのですが、誰かを評価するときに「継続する力」を意識していますか?あまり意識していない方が多いと思います。継続が大切なことは頭では理解しているはずなのに、なぜ継続の力を軽視してしまうのでしょうか。それは、「持続時間の無視」により、瞬間的な印象によって評価が左右されているからです。
終わり良ければ全てよし
「終わり良ければ全てよし」という言葉があります。「物事は最後の結果さえ良ければ、途中の失敗は問題にならない」という意味です。冷静に考えて、本当にそうでしょうか?何か目標があって、それを達成したという場合に「色々あったが、最終的に目標を達成できて良かった」となるかもしれませんが、「全てよし」は言い過ぎではないでしょうか。終わりだけではなく、途中も大切ですよね。途中の苦労を軽視し結果を重視する、これは「持続時間の影響」と言えます。
持続時間の無視と上手に付き合うために
持続時間の無視を利用する
努力をしている時は苦しい時間が続いているはずです。努力をしている瞬間は「辛い、もうやめたい」と思うこともあります。しかし、その努力を後で振り返るといい思い出と感じることが多いです。これは持続時間の無視によるものと言えます。
持続時間の無視の特性を理解することで、仮に今が苦しかったとしても、後で振り返った時に良い思い出となることを理屈として理解できるようになります。
その結果、長期的な目線で正しい判断が出来るようになり、努力や困難と前向きに付き合えるようになることが期待できます。
持続時間の無視に騙されないようにする
持続時間の無視に騙されないようにするためには、「本当にそれだけ苦労してその結果を得たいと思っているか?」という視点で考えることが有効です。
毎日、好きでもない仕事をして、朝から晩まで働いて、単身赴任で家族と離れ離れの生活をして…何のために働いているのでしょうか?家族のため?豊かな老後のため?生活のため…?
過去を振り返って持続時間の無視の影響により、「頑張ったから今の結果がある」と考えるのも悪くないですが、今、この瞬間をもっと大切にしませんか?将来のために頑張ることも大切ですが、今この瞬間を大切にする方が、きっと幸せな人生になれます。