正常性バイアスとは
正常性バイアスとは、非常時に「自分は大丈夫」と考えてしまい、避難等の行動が遅れてしまう現象のことです。
正常性バイアスの実例
自然災害発生時に逃げ遅れる
正常性バイアスは災害時によく発生する認知バイアスです。非常事態が発生した際に「自分は大丈夫」と考えることで、心のバランスを保とうとしていると考えられていますが、結果的に逃げ遅れなどにつながり命を落とす結果になることがあります。
昨今、自然災害のリスクが非常に高まっています。大雨の場合に発生する「洪水」「河川の氾濫」「土砂崩れ」、
地震の場合に発生する「津波」「火災」など、様々なリスクがあります。正確な情報収集に努め、適切な判断・行動をすることが自分の命を守ることにつながります。
新型コロナウイルスはただの風邪
未知のウイルスに対する対応に正解はありませんが、未知のリスクに対してはオーバー気味に対応を行うのがリスクマネジメント上、適切な対応となります。科学的な根拠もなく「新型コロナウイルスはただの風邪」と考えて行動するのは、正常性バイアスにより「自分は大丈夫」と過信している状況と言えます。
正常性バイアスの調査結果
「平成30年7月豪雨」について、兵庫県立大学と山陽新聞が被災者にアンケート調査を行いました。
自ら避難せずに救助された人に、避難しなかった理由を聞いたところ、回答が多かった順に以下のような回答がありました。
・これまで災害を経験したことがなかったから
・2階に逃げれば大丈夫だと思ったから
・外の方が危険だと思ったから
・道路が渋滞していて車を動かせなかったから
・パニックになりどうしたら良いか分からなかったから
・車などの移動手段がなかったから
・病気などで体を動かすのが困難だったから
上位3つの理由は「避難できなかった」ではなく「避難しなかった」理由であり、これら3つの理由が84%を占める結果となりました。
この結果から「これくらいなら大丈夫」や「まだそれほど危険ではない」と考えてしまう認知バイアス「正常性バイアス」が人間にあることがわかります。
正常性バイアスと上手に付き合うために
正常性バイアスと上手につきあるtためには、断片的な思い込みの情報ではなく、正確な情報による判断を行うことが必要です。具体的には「〇〇は××だ」といった簡潔なメッセージではなく、「○○は××%の確率で発生したというデータがある」といった具体的な数値を含んだ情報をもとに判断をすることが望まれます。緊急事態発生後に情報収集をしようとしても時間が足りない可能性がありますので、常日頃からリスクマネジメントに関心を持ち、自ら学ぶ姿勢を持って生活し、判断力の向上に努めることが良いでしょう。