自己中心性バイアスとは
自己中心性バイアスとは、チームの中での自分の貢献度を高く見積もる傾向のことです。
チームメンバーに「あなたのチームでの貢献度は何パーセントですか?」と聞き、その答えを集計すると、100%を超えます。つまり、一人一人が自分のチームへの貢献度を過剰評価していることになります。
自己中心性バイアスの実験例
カナダの心理学者マイケル・ロスとフィオーレとシコリーが行った実験があります。
夫婦に「妻と夫でどのくらい家事をしていると思うか」という質問を行いました。その結果、夫も妻も「自分の方が多く家事をしている」と感じる傾向がありました。
自己中心性バイアスにより自分に都合の良いように過去を解釈し、過大な自己評価をしてしますことが明らかになりました。
自己中心性バイアスの実例
仕事が休めない
仕事を休む時、「自分がいなくて仕事は大丈夫だろうか?」と心配になることはありませんか?
その気持ちすごくよく分かりますが、もしかしたら「自己中心性バイアス」により過剰な心配をしていませんか?
「自己中心性バイアス」は、「自分の貢献度を実際よりも高く見積もる」という認知バイアスです。
そのため、「自分はチームに貢献している」→「自分がいないとチームが機能しない」→「自分が休むとみんなが困る」という発想につながります。
「仕事が休めない」という考えの大元が「自己中心性バイアス」による過剰な自己評価だとしたら、「仕事を休んだらみんなに迷惑がかかる」という発想は不要ですね。1人の人間がいないぐらいで仕事が回らないのは異常です。会社として正常ではありません。そして、仮にそうなってしまっていたとしてもあなたの責任ではありません。会社の責任です。余計な心配はやめて、休むべき時は堂々と休みましょう。
人事評価
人事評価、難しいですよね。全員が納得する人事評価というのはあり得ないと思います。なぜ、人事評価は難しいのでしょうか?これにも「自己中心性バイアス」が影響しています。
「自己中心性バイアス」は、「自分の貢献度を過剰評価する」という認知バイアスです。従業員一人一人が自分の貢献度を過剰評価しているということは、自分が考える評価が客観的な評価よりも高くなってしまっている事を意味しています。その結果、「なんで私の評価がこんなに低いんだ」と感じる人が多数発生することになります。
自己中心性バイアスと上手に付き合うために
自己中心性バイアスと上手に付き合うためには、相手をよく見て相手の立場を理解するよう努めることが必要です。
「自己中心性バイアス」は認知バイアスの1つであり、「自己中心性バイアス」の影響を完全に排除することはできません。また、自分の業務量などは自分自身のことなのである程度正確に把握できますが、他人の業務量などについては情報量が少なくなるため正確には把握できず、その結果「自己中心性バイアス」につながる可能性があります。
そのため、「自己中心性バイアス」による影響を軽減するためには、相手をよく見て相手についてよく知ることが
重要です。自分自身についての情報量と相手のことの情報量の差を少しでも埋めることで、「自己中心性バイアス」が生じにくい状況を作ることができます。