プライミング効果とは
プライミング効果とは、先に与えられた情報や印象によって、その後の行動が無意識のうちに影響を受ける現象です。
プライミング効果の実験
指定した単語を使って作文を行い、その後の行動を観察した実験を紹介します。単語の内容によって行動に影響が出る結果となります。
参考文献:『ファスト&スロー』/ダニエル・カーネマン著/早川書房/2012年
1.5つの単語から4単語を使って、短文を作ってもらう
1−1.Aチームは無作為に選んだ5つの単語
Aチームは、無作為に選んだ以下の5つの単語を使って文章を作成してもらいます。
「たとえば、彼」「見つける」「それ」「黄色」「すぐに」
1−2.Bチームは高齢者を連想させるような単語
Bチームは、高齢者を連想させるような単語を使って文章を作成してもらいます。
「フロリダ」「忘れっぽい」「はげ」「ごましお」「しわ」
2.廊下を歩行して移動してもらい、歩行する速度を計測する
Aチーム・Bチームそれぞれ、文章作成課題を終えた後、「次の実験を行うために違う部屋へ移動します」と説明して廊下を歩行して移動してもらいます。
3.実験結果
AチームとBチームの歩行速度を比較すると、高齢者を連想するような単語で作文を行なったBチームの方が歩行速度が遅くなりました。
4.補足説明
出された単語に共通性があると気づいた学生は1人もいませんでした。
プライミング効果の活用例
1.安全第一や整理整頓の掲示物
職場に「安全第一」や「整理整頓」といった掲示物はありませんか?「貼ってるだけでは全く意味がない」と思ったことがあるかもしれませんが、プライミング効果により本人の自覚がなかったとしても貼っているだけで効果があります。
「安全第一」という表示がプライムとなり、その掲示が目に入った人は無意識のうちに「安全第一」という言葉のイメージに沿った行動を行うようになります。職場の人たちは誰もその掲示物のお陰とは気づかないまま、「安全第一」の行動を自然と実践することができるようになります。
2.夢ノート
書くと夢が叶うと言われる「夢ノート」ってありますよね。これもプライミング効果を応用した例です。
一般的な夢ノートは、夢を紙に書きだすことで自分の潜在意識にそれを刻み込むことで、そこに書き込んだ夢が叶いやすくなる物と言われています。この、「夢を紙に書きだす」という行為がプライムとなり、自分の行動が変わり、その結果夢が叶いやすくなります。
3.公共トイレの表示
公共トイレを使うと、「いつもトイレを綺麗にご利用いただきありがとうございます」という掲示をよく見ますよね。これもプライミング効果を活用しています。
この、「いつもトイレを綺麗にごりよういただきありがとうございます」という表示を目につきやすい場所に掲示することで、「いつもトイレを綺麗にご利用いただき」という言葉のイメージがプライムとなり、トイレを綺麗に使う行動を促しています。
4.朝礼での社訓の唱和
毎朝、会社の朝礼で社訓を唱和する会社があります。この習慣もプライミング効果を活用した例です。
一般的に会社の社訓は、その会社の「理想」や「あるべき姿」を言語化したものです。その会社にっての「理想」「あるべき姿」を、毎朝従業員が唱和することで、その唱和がプライムとなります。その結果、従業員は社訓に沿った行動を無意識のうちに行いやすい環境となり、会社が目指す方向へ向かっていくことができるという仕組みです。