モラル信任効果とは
モラル信任効果とは、自らが立派であること、社会の役に立っていると認識して、「これだけ素晴らしいのだから、多少倫理に反することを行なったとしても許されるだろう」と無意識のうちに考える傾向のことです。
「あんな立派な人が、何故?」と思うような事象の背景には、「モラル信任効果」が影響していると言えます。
モラル信任効果の例
老害
組織や社会で幅を利かせすぎて、他人に必要以上の負担や迷惑をかけている高齢者を老害と言いますが、老害は「モラル信任効果」によるものと言えます。
人間は、年齢を重ねるごとに横暴になることがあります。
これは、年齢を重ねるごとに様々な実績を重ね、「これだけ世の中に貢献をしているのだから多少の横暴は許されるだろう」と無意識のうちに考えてしまうための可能性があります。
この発想こそが「モラル信任効果」です。
夫婦喧嘩
夫婦喧嘩の主な原因の1つとして、「家事の分担」があるそうです。
家事の分担でケンカになる要因は色々あると思いますが、
「自分はこれだけ頑張ってるんだからこれぐらいいだろう」
「今日は疲れてるんだからこれぐらい見逃してくれ」
という気持ちが原因になることもあると思います。
これらなように「自分は頑張ったから…」という感情は「モラル信任効果」の影響が入っている可能性があります。
率先垂範
「率先垂範」という言葉をご存知ですか?「率先垂範」とは、「先頭に立って模範を示すこと」です。例えば、会社で上司が部下に対して「職場内の整理整頓を徹底しなさい」と指示したことに対して、上司自らが整理整頓を進んで行うことです。
職場の上司で率先垂範ができている人、どれくらい見たことありますか?率先垂範できていないと感じる上司の方が多いのではないでしょうか?
上司はなぜ率先垂範できないのでしょうか?はそれは、「モラル信任効果」の影響がある可能性があります。「俺は上司だから偉い」「整理整頓は若手の仕事」そんな意識があったら、「モラル信任効果」が働いていると考えられます。
本来、整理整頓に上司部下は関係なく、職場全員でやるべきことですよね。
忙しいから…
忙しいからという理由で、ルール違反の行動が許されてしまうこと、ありませんか?
「忙しいからしょうがないよね」という気持ちになることもわからなくはないですが、「忙しい」ということが免罪符となっていませんか?「これだけ忙しいほど頑張っているのだから、多少のルール違反をしても許されるだろう」という考えは、「モラル信任効果」そのものです。
そもそも「忙しいから」という理由で守らなくても良いルールなどあるのでしょうか。ルールは、標準化です。いつでも誰でも一定の質を確保するために「ルール」があります。「忙しい」時でも一定の質を確保するためにルールは存在しています。
モラル信任効果に陥らないために
「モラル信任効果」に陥らないためには、「自分は特別」という感覚を持たないようにすることが必要です。「自分は特別」ではありません。「みんな特別」です。忙しいのは自分だけではありません。思い通りに物事が進んでいないのは自分だけではありません。頑張っているのは自分だけではありません。