ブーメラン効果とは
ブーメラン効果とは、交渉の場面で何かを強く説得されると、自由を制限されたと感じて逆の方向に心が動くことです。
ブーメラン効果は自分の意見を表明する機会が与えられると弱められると考えられます。
ブーメラン効果が生じやすい条件
強い根拠と弱い根拠の説得効果の比較
相手を説得するときは「強い根拠」があった方が望ましいと思いがちですが、一概にそうとは言えません。
説得の効果について、「説得根拠の強弱」「説得される側の知識レベル」「説得される側の関与の強さ」「説得される側の気分」「時間制約」の関係性について様々な実験結果があります。
説得される側の知識レベル
説得される側の知識レベルが高い場合は強い根拠が必要ですが、相手の知識レベルが低い場合は必ずしも強い根拠が必要というわけではありません。
説得される側の関与の強さ
説得される側に強く関与する場合は強い根拠が必要ですが、関与が低い場合は根拠の強さよりも説得者の信憑性が重要になります。
説得される側の気分と時間の制約
説得される側が良い気分の時に時間の制約がある状態で説得をすると、弱い根拠でも説得できる可能性が高まります。
ブーメラン効果の実例
説明会
何か新しいことを始める際に「説明会」が開かれることがありますよね。建設工事の地元説明会などかよくあるイメージです。
このような「説明会」は多くの利害関係者が集まるため、内容によってはブーメラン効果により説得が困難になるケースがあります。そのような場合は、参加者の方が自分の意見表明する機会を設けることが必要です。そうすることにより、ブーメラン効果が弱まり、説得がうまくいく可能性が高まります。
根回し
「根回し」は好きですか?正直、私はあまり好きではないです…。なんか、正々堂々としていないというか、理論的ではないというか。勝手なイメージですが、何となくずるいイメージがあります。ただ、困難なことを説得する必要がある場合はブーメラン効果により交渉が難航する可能性があります。そのような時は「根回し」が有効になります。
「根回し」を別の言い方で表現すると、「事前に説得をして自由に反論する機会を設ける」ということになります。「反論する機会を設ける」ことで「自分の意見を表明する機会を与える」ことになり、ブーメラン効果を軽減し、説得がうまくいく可能性が高くなります。
子育て
子どもに何かを伝えるときに、子どもの話を聞かずに一方的に話をしてしまうことがありませんか?
「片付けをしなさい!」
「早く準備をしなさい!」
このような言い方をしていたとしたら、ブーメラン効果により子どもからの反発が強くなる可能性があります。
子どもからの反発を「イヤイヤ期」の一言で片付けるのではなく、大人と同じように子どもに対してもしっかりと誠実に向き合い話を聞くことが重要です。
ブーメラン効果と上手に付き合うために
相手に何かを伝えたい時には、強く説得するのではなく、相手の話をよく聞き相手の立場に立って考えることが大切です。
参考文献
参考文献:現代心理学辞典
参考文献:認知バイアス大全