デフォルト効果とは
デフォルト効果とは、物事を選択する際にデフォルトを選択しやすい傾向のことです。
デフォルト効果の実験内容
デフォルト効果の実験として、インフルエンザの予防接種に関する実験を紹介します。
参考文献:『選択と誘導の認知科学「認知科学のススメ」シリーズ10』/山田歩著/新曜社/2019年
1.予防接種の案内
インフルエンザの予防接種の案内をEメールで送付します。
2.予防接種日の決定方法
2−1.任意の日程から選ぶ(デフォルト効果なし)
Aグループには「4つの候補日から都合が良い日を選んで申し込んでください」と依頼します。
2−2.予め日時を設定する(デフォルト効果あり)
Bグループには「○月○日に接種してください(都合が悪ければ連絡ください)」と依頼します。
3.予防接種実施率
3−1.任意の日程から選んだ場合(デフォルト効果なし)
都合が良い日を選んでもらった場合の予防接種の実施率は33%となりました。
3−2.予め日程を設定した場合(デフォルト効果あり)
予め接種日を設定した場合の予防接種の実施率は45%となりました。
デフォルト効果の活用例
1.メールマガジン
ネットで買い物をすると画面の下の方に「メールマガジンの配信を希望しますか?」のようなチェック欄があることが多いかと思います。このチェック欄は、デフォルトで「配信を希望する」が選択されていることが多いです。これは、デフォルト効果を活用した取り組みと言えます。
デフォルトでチェックを入れておくことで、「どっちでも良いのでわざわざチェックを外さない」「そもそもチェック欄に気付かない」というような人も結果的にメールマガジンを受信することになり、マールマガジンの受信者が増えることになります。
2.交通安全協会
免許更新に行くと、当たり前のように交通安全協会に入会していることがありませんか?これもデフォルト効果を応用した事例と言えます。
交通安全協会への入会は任意です。そのため、普通であれば「交通安全協会に入会しますか?」という意思確認の後、個人の意思で入会を決断する手順になるはずです。しかし実際は、入会することが当たり前のように案内され、「会費は○○○円です」と説明があり、入会することが当然のような印象を受けます。「入会することが当然ですよ」という印象を与えることで、デフォルト効果を利用して入会率の増加を狙っていると考えることができます。
3.飲み放題付きコース料理
飲食店ではコース料理があるお店も多いですが、例えば「○○の特産品満喫コース(飲み放題付き)4800円」のように、飲み放題付きで値段表示されていることが多いとおもいます。これは、デフォルト効果を活用した例と言えます。
デフォルトで飲み放題を付けておくことで、飲み放題を申し込むお客さんを多くすることが狙いです。