希少性の法則とは
希少性の法則とは、いつでも誰でも手に入るものよりも、入手しにくいものこそ価値が高いと感じる傾向です。
「希少性の法則」は「ここで手に入れなかったら、もう手に入らないかもしれない」という「損失回避性」による影響を受けていると考えられます。
希少性の法則の実験(クッキーの美味しさと数の関係)
アメリカの心理学者ステファン・ウォーチェルらは1975年に希少性バイアスを検証する実験を行いました。
参考文献:Newton(2023年2月)
実験の概要
参加者はグループA・B・Cの3つのグループに分かれ、ビンに入ったクッキーを試食して味などを評価するように指示されます。
グループA
クッキーが10枚入った瓶がテーブルの上に用意します。
参加者がそれを食べようとした時、別の実験者が突然部屋の中に入ってきてこう言います。
「他の実験室でクッキーが人気で不足したので、分けてもらいにきた」
そう告げると、クッキーが2枚入った瓶と交換して部屋を出て行きました。
グループB
クッキーが10枚入った瓶がテーブルの上に用意します。
参加者がそれを食べようとした時、別の実験者が突然部屋の中に入ってきてこう言います。
「クッキーの瓶を間違えて配置してしまった」
そう告げると、クッキーが2枚入った瓶と交換して部屋を出て行きました。
グループC
クッキーが2枚入った瓶がテーブルの上に用意します。
参加者がそれを食べようとした時、別の実験者が突然部屋の中に入ってきてこう言います。
「クッキーの枚数を確認しに来た」
そう告げると、瓶を交換せず部屋を出て行きました。
実験結果
クッキーの評価は
グループA>グループB>グループC
の順に高くなりました。
クッキーが常に不足(グループC)しているよりも、途中で数が減少する(グループA・B)の方が評価が高くなり、クッキーが人気と告げられる(グループA)が最も評価が高くなりました。
この結果から希少性バイアスが示されました。
希少性の法則の例
限定品
旅行先などで「地域限定」と書いてあると、買いたくなりますよね。これは「希少性の法則」を利用した販売戦略と言えます。
「ここでしか買えない」という情報が「手に入りにくいもの」という理解につながり、「希少性の法則」により「価値が高いもの」と考えるようになります。
品切れ
品切れになるとその商品が欲しくなってしまうことありませんか?これも「希少性の法則」によるものと言えます。
「品切れ」により、「今は手に入らない」という状況になり、「価値が高いもの」という錯覚につながります。
残り○○個
ネット販売などで「残り○個在庫あり」や、旅行サイトなどで「残り○部屋」のような表示を見たことがあると思いますが、これも「希少性の法則」を利用しています。
残りの数を明示することで、「あと○個しかない」「貴重なものだ」と感じるようになり、「価値が高いもの」という印象を持つようになります。
希少性の法則と上手に付き合うために
何か物が欲しいと思ったときに、飛びつかないようにすることが効果的です。限定品や品薄なものは、確かに今買わないと買えなくなるかもしれません。しかし、その商品は本当に必要なものでしょうか?その商品を買ったとして、どのくらい幸せを感じるでしょうか?
「買って幸せになる」と「買わずに不幸せになる」の2択しかないように感じてしまいますが、実際は違います。「買ったけど不幸せになる」というパターンもあれば、「買わずに幸せになる」というパターンもあります。この思考の誤りを「2分法の誤謬」と言います。
何かを買うかどうか検討しているときは、必要以上にそのことに注目してしまいます。これを「フォーカシングイリュージョン」と言います。一歩引いて自分を客観的に見て判断すると、冷静な判断ができるようになります。是非試してみてください。